【初心者向け】サクッとマスター!財務諸表の見方②【中長期投資】
財務諸表の見方は非常に奥が深く、全てをマスターするためにはとても時間がかかってしまいます。しかし、中長期投資で使えるポイントを知っておくことで、時間効率を格段に上げることができます。そこで今回は、実践で使える財務諸表の見方について解説していきます。
前回のおさらい
◆ 初心者でも財務諸表の見方は簡単にマスターできます
前回の記事では、中長期投資で使える財務諸表の見方や、「企業の稼ぐ力」を判断する時に欠かせない「収益性分析」の基本的な使い方について、初心者の方にも分かりやすく解説してきました。主な内容としては、このような感じです。
◎売上高総利益率が25%以上
◎売上高営業利益率が4%以上
◎売上高経常利益率が4%以上
◎売上高当期純利益率が4%以上
これらの条件は、財務諸表の見方をマスターする時や、中長期投資の対象となる銘柄を探す場面でとても効果的なものとなっており、実際に僕が使っている分析方法のひとつでもあるので、下記のリンクを参照しながら、ゆっくりと知識を身に付けていってください。
安全性分析ってなに?
◆ 企業の返済能力を見極めるために欠かせない分析方法
財務諸表を使った分析方法には、「収益性分析・安全性分析・活動性分析・生産性分析・成長性分析」の5種類があります。この中でも僕が特に重宝しているのは「収益性分析」ですが、その分析方法と同じくらい重要視しているものがあります。それは、「安全性分析」という分析方法です。
「安全性分析」とは、企業の返済能力を見極める時に使える分析方法のひとつで、主に財務諸表の「貸借対照表」に載っている情報を活用して分析を行っていきます。あと、文字通り企業の基礎的な財務状況の「安全性」を判断する場面でとても重要な役割を担ってくるので、初心者の方には是非とも覚えていただきたいです。
◆ 中長期投資で必要な安全性分析はこの4つ!
中長期投資で安定した結果を残し続けるためには、「収益性分析」と「安全性分析」の見方をマスターすることが必要不可欠です。ただ、安全性分析にはいくつかの財務指標があるので、いきなり全てを使いこなすことは、正直言って至難の業です。なので、今回は最低限知っておいて欲しい指標のみをピックアップして説明していきます。
中長期投資で使える安全性分析の指標は、「流動比率・固定比率・自己資本比率」の3種類があります。あと、それらの指標に加えて「キャッシュフロー計算書」の見方もある程度知っておく必要がありますが、そんなに難しくないので何も心配はありません。着実に次のステップへ上がっていきましょう。
流動比率が200%以上
◆ 流動比率ってなに?
流動比率とは、企業の短期的な返済能力を見極める時に使われる指標のことで、貸借対照表に載っている「流動資産」と「流動負債」から、その数値を算出していきます。あと、流動比率の計算は「流動資産÷流動負債×100」といった方法になりますが、さらに細かい分析をしたい時は「当座比率」という指標を使うこともあります。ただ、中長期投資を行うだけなら、流動比率のみで十分だと思います。
◆ 短期的な返済能力を測る場合に最適!
流動比率は、短期的な返済能力を測る場合にとても効果を発揮する指標ですが、「短期的」とは一体どれくらいの期間なのかというと、基本的には「1年間」を目安に判断すると覚えておいてください。それ以上の期間の返済能力を見極める時は「固定比率」という指標を使うことになるので、その見方はのちほど説明していきます。
◆ 流動比率の目安はどのくらい?
日本国内の企業では、流動比率が「120~150%」で推移している傾向にありますが、中長期投資に向いている企業は「200%以上」となる場合が結構多いです。なので、銘柄を探す時は、この数値を目安にしておくと良いでしょう。
あと、上記の画像のように、貸借対照表では流動資産や流動負債に分類される項目も細かく記載されていて、その項目は業種によってもかなり変わってくるので、さらに財務諸表の見方を極めたい時は「簿記の勉強」をしっかりと行った方が良いと思います。
固定比率が100%以下
◆ 固定比率ってなに?
固定比率とは、適切かつ安全な設備投資などが行われているかどうかを判断する時に使う指標のことで、個人的には中長期投資の銘柄を探す場面において、流動比率よりも優先順位が高い指標だと考えています。また、固定比率は「固定資産÷自己資本×100」で算出できます。
◆ 長期的な返済能力を判断する重要なものさし
固定比率という指標は、長期的な返済能力を判断する時にもかなり重要な存在となってきます。あと、固定比率の計算で使う「固定資産」とは、土地や建物などの消耗しない資産のことで、固定資産と自己資本の金額によって「資金調達の安定性」に対する見方も大きく変わってきます。やや難しいですが、とても重要なポイントなので少しずつ噛み砕いて理解していきましょう。
◆ 固定比率の目安ってどんな感じ?
日本の企業では、固定比率が「100~120%」で推移していることが多いです。なので、僕は中長期投資の銘柄を探す場合、「固定比率が100%未満」を目安にしています。ただ、設備投資が消極的な企業は固定比率が10~20%台なんてケースも珍しくないので、「流動比率・自己資本比率・キャッシュフロー計算書」の3つを加味したうえで判断していくことが大切です。
自己資本比率が40%以上
◆ 自己資本比率の簡単なおさらい
自己資本比率という財務指標は、以前投稿した【初心者向け】四季報を味方につけて株式投資で稼ぐ方法①【中長期投資】という記事の中で、その見方や使い方を解説させていただきました。また、主な内容はこのような感じになります。
◎自己資本比率=会社の健全性が分かる
◎自己資本比率の目安は「40%以上」
◎優良銘柄のほとんどが40%を大きく上回っている
自己資本比率の詳しい説明は、下記のリンクを参照することでさらに理解が深まるので、よろしければご覧ください。
キャッシュフローの見方も超重要!
◆ キャッシュフローの簡単なおさらい
キャッシュフロー計算書の見方は、【初心者向け】四季報を味方につけて株式投資で稼ぐ方法③【中長期投資】という記事で紹介させていただきました。また、キャッシュフローの見方をマスターすることで、中長期投資の成功に大きく近づくことにも繋がるため、今回の記事でも簡単にまとめておきます。
◎営業CF=営業活動で得た現金の動き。プラスの場合、本業でしっかり利益がでていると判断
◎投資CF=企業が投資を行った現金の動き。マイナスの場合、適切な設備投資などを行っていると判断
◎財務CF=営業活動の維持に使った現金の動き。マイナスの場合、借金などの返済が進んだと判断
◎現金等=会社に残っている現金などの残り。他のマイナスが補えると優秀
キャッシュフローの見方についても、下記のリンクから詳しい内容を知ることができます。復習も兼ねて、是非ご覧になってください。
まとめ
中長期投資の成功に欠かせない財務諸表の見方について、初心者の方にも分かりやすく解説してきました。今までの記事に比べると、やや難易度が高い内容もありましたが、日々の積み重ねは必ず未来への新たな芽を生む糧となるので、ゆっくりと力を身に付けていきましょう。
次回の記事では、中長期投資で勝ち続けるための銘柄選びの手順について紹介していこうと思います。最後までお付き合いしていただき、ありがとうございました。